お話を読む前に「古御神の人」は古事記のお話を使っています

「イザナギとイザナミ」古事記のお話①

夫婦神のイザナギ(夫)とイザナミ(妻)は神の国の高天原から混沌の地に降り立ち、多くの神産み・国産みを行いました。しかし、妻のイザナミはヒノカグツチ(火の神)を産んだ時の炎で火傷を負い、命を落としてしまいました。夫のイザナギは妻を失った悲しみに耐えきれず、死者の国:黄泉まで妻に会いに行きましたが、妻の変わり果てた姿に恐れをなし、逃げてしまいました。夫に裏切られたイザナミは怒り、鬼や醜女(しこめ)にイザナギを襲わせました。イザナギは防戦しながら黄泉比良坂(よもつひらさか)まで逃げてきました。

「桃の樹:オオカムヅミ」古事記のお話②

黄泉比良坂とは、あの世とこの世の境にある坂です。この坂でイザナギは立派な桃の樹をみつけ、その実を鬼や醜女(しこめ)に投げつけました。鬼や醜女たちは大きく固い実の痛さに耐えきれず、慌てて逃げ去りました。イザナギは命を救ってくれた桃の樹に、礼としてオオカムヅミの命(大神の実)の名を与えました。

「夫婦神の最後の会話」古事記のお話③

鬼と醜女が去った後、遅れて夫を追ってきたイザナミは坂の向こうへ逃げた夫に言いました。

イザナミ

あなたは私を迎えに来たのではないのですか?あなたがこんなに酷い仕打ちをするのなら、私は1日に1000人の命を奪いましょう。

イザナギ

私にはどうすることもできない。おまえが私を許せずにそんな酷いことをすると言うのなら、私は1日に1500人の命を産ませよう。

「黄泉で別れて…その後」古事記の話④

黄泉から帰ったイザナギは禊(みそぎ)で汚れた体を清め、一人で神産みを始めました。神産みはアマテラス(天照大伸)が生まれるまで続きました。一方、イザナミは夫と別れて間もなく黄泉の国の大神となりました。

「神を慰めるための祭:大祭」オリジナル

黄泉大神となったイザナミは、今も夫との離別に嘆き苦しんでいました。悲しみに荒れ狂い、1日1000人を超える命を奪う日もありました。いつしか命を奪われ続ける人間の中から霊的な力を持つ者が現れ、惨事を防ぐ祭事:大祭(たいさい)をするようになりました。イザナミは大祭として黄泉の国へ来た人間を夫:イザナギの代わりとして一時的に受け入れ、慰めを得るようになりました。この大祭を執り行う人間が、古御神(こみがみ)家の人々です。

「古御神家と少女の秘密」オリジナル

古御神家の長男:総一郎(そういちろう)は、生まれながら強い霊力を持ち、次の大祭のイザナギ役として大事に育てられてきました。弟の晴彦(はるひこ)は、大祭で兄を守るオオカムヅミの役に就きたいのですが、兄の総一郎から強く反対されています。そんな兄弟の暮らす社務所下の隣家に、晴彦と同い年の女の子が引っ越してきました。有名舞台女優の娘:杜泉比奈里(もりいずみひなり)、彼女には人に言えない秘密がありました。